ALK融合遺伝子陽性NSCLCにおける血液検体を用いたリキッドバイオプシー

Rafał Dziadziuszko, MD, PhD, Department of Oncology and Radiotherapy, Medical University of Gdańsk(ポーランド・グダニスク)

Rafal Dziadziuszko,
Rafał Dziadziuszko, MD, PhD, Department of Oncology and Radiotherapy, Medical University of Gdańsk(ポーランド・グダニスク)

肺がんの診断や治療という点で、バイオマーカーとしての血中遊離DNA(cfDNA)に現在、どういったことを期待できますか。

血液検体を用いる診断検査というのは肺がんの診断だけでなく、遺伝子変異の予測にも利用できます。肺がんの場合は現在、患者個人のDNAにどのような変異があるかによって、細かくいくつものサブグループに分類しています。現在の技術をもってすれば、組織中の遺伝子変異はもとより血液中の遺伝子変異も検出可能です。血液検体を用いる診断検査の精度が上がっていくことには目を見張るものがありますし、精度の高さは80%どころか90%に達しているかもしれません。この診断検査は初期診断にも行えるでしょうし、免疫療法といった分子標的薬の選択や、治療効果のモニタリングにも利用できる可能性があります。血中遊離DNA(cfDNA)を測定することで、血漿中にがん由来のDNAが存在しているかをどうか、大体のことが分かりますが、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)で注目するのは特定の遺伝子変異で、対立遺伝子頻度の検出と算出ができるかもしれないところです。本学会では、免疫療法や分子標的治療を受けた患者のcfDNAとctDNAの両方を取り上げた発表もですが、実現しつつある肺がん検診といった診断目的での使用についての発表も多くありました。

ALK融合遺伝子陽性NSCLCにとって、cfDNAが持つ臨床的意義をどうお考えになりますか。

肺がん全体の5%をALKy融合遺伝子陽性NSCLCが占めています。ALK阻害薬で治療でき、これまでにないほどの生存期間の延びも期待できるので、このタイプのサブセットは臨床的に重視しています。ALK遺伝子の再構成は組織からだけでなく血漿からも検出でき、先ほど申しましたように診断精度は約80%になります。ほかにも、ALK遺伝子転座の変異を検出して、血中のALK遺伝子量を測定することも可能です。これが治療反応と相関することが認められています。治療が進むにつれてALK遺伝子転座が減少すると、通常は治療効果があると受け取れます。これ以外のバイオマーカーですが、ALK阻害薬の有効性などを調べる臨床試験でも、診断や治療のモニタリングには血液検体を利用しているようです。

本学会で発表なさった解析結果はどういう内容でしたか。

今年は、ALEX試験へのALK融合遺伝子陽性NSCLC患者の参加に尽力してくださった先生方を代表する機会に恵まれました [1]。ファーストラインの標準治療としたクリゾチニブ群、あるいはALK阻害薬の新薬であるアレクチニブ群に患者を無作為割り付けし、PFSやOS、その他の項目を評価しました。今回発表した解析結果ですが、血中遊離DNAを遺伝子変異量の代わりとして検証し、これが患者の予後と相関していました。cfDNAと遺伝子変異量とには相関性があったことを示しました。転移巣が多かったり腫瘍が大きかったりする患者はcfDNA量が多く、投与したのがクリゾチニブであってもアレクチニブであっても予後不良となっていました。ただし、アレクチニブ群の患者にはcfDNA量にかかわらず、クリゾチニブ群の患者よりも良い結果が出ています。これで、PFSとOSが患者によって異なる理由はおそらくcfDNAである、という説明がつくでしょう。ちなみにcfDNAは簡単な方法で測定できます。ALEX試験に参加した患者300人のうち270人分以上のデータが、統計解析の対象になっています。

ただ現段階では、その結果は予後に関する内容に限られています。簡単な検査で腫瘍中の遺伝子変異量を測定することが、どの患者にALK阻害薬が有効で、どの患者にはそうでない可能性が高いかを判断する材料になるでしょう。

将来的にはcfDNAの一時的な変化を調べ、X線画像上の再発との相関性も検証したいと考えています。あと、cfDNAの測定を予測アッセイとして利用すると、初期段階からALK阻害薬に反応しない患者を特定できるようになるかもしれません。今後も探索を続けていかなければなりません。

参考文献:

  1. Dziadziuszko R et al., Circulating free DNA as a prognostic biomarker in patients with advanced ALK+ NSCLC treated with alectinib from the global phase III ALEX trial. J Clin Oncol 37, 2019 (suppl; abstr 9053)

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