免疫療法:デュルバルマブおよびペムブロリズマブの作用が分析により明らかに

PACIFIC試験:治療後に実施した免疫療法のOSへの影響

切除不能なⅢ期のNSCLC患者で、プラチナ製剤ベースの根治的放射線化学療法を受けた後に無増悪の状態が持続している患者にはデュルバルマブ療法を行うことが、国際共同第Ⅲ相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験であるPACIFIC試験で確立した。放射線化学療法の実施から6週間以内に、患者をデュルバルマブ10 mg/kgを隔週(Q2W)で最長12か月間投与する群(n=476)もしくは、プラセボを投与する群(n=237)にランダムに割り付けた。このときの主要評価項目はPFSとOSである。デュルバルマブが、PFSとOSにこれまでにない臨床的改善をもたらした。一次解析の時点では、デュルバルマブ群のOSの中央値はまだ判明していなかったが、プラセボ群のその中央値は28.7か月だった(HR:0.68、 p=0.0025)[1、2]。両群の生存曲線は初期段階で分かれた状態がその後も続き、抗PD-L1抗体薬としての効果が長きにわたって持続したことがうかがえる。

同試験で治療後に行った免疫療法が、果たしてOSの改善に影響を及ぼしたのかという疑問をOuwensらが調査した[3]。治験薬の投与が中止になった後、デュルバルマブ群の8%、プラセボ群の22%の患者に免疫療法を行った。デュルバルマブ群の33%、プラセボ群の32%には、これ以外の抗がん剤を投与している。また、前者の59%、後者の46%には治験薬の投与中止後の治療は行わなかった。同試験で行った免疫療法のOS への影響は、Rank-preserving structure failure timeモデル(RPSFT法)で補正した。

RPSFT法で補正したOSは、ITT解析のOSに関する結果と一致していた。両群の生存曲線の動きはほぼ同じで、HRの差異はわずか0.1しかなかった(RPSFT法とITT解析の両方でデュルバルマブ群は0.67、プラセボ群は0.68、図 1)。同試験の成績に行ったこの探索的データ解析は、切除不能なⅢ期のNSCLC患者へのデュルバルマブの効果を示すデータを強固にする結果となった。

図1:PACIFIC試験で他の療法を行った後の免疫療法の影響を補正した生存曲線。デュルバルマブ群とプラセボ群の全生存期間をITT解析とRPSFT法別に描出した曲線に同様な傾向が見て取れる
図1:PACIFIC試験で他の療法を行った後の免疫療法の影響を補正した生存曲線。デュルバルマブ群とプラセボ群の全生存期間をITT解析とRPSFT法別に描出した曲線に同様な傾向が見て取れる

PROへのPD-L1発現率の影響

PACIFIC試験のITT解析対象集団の場合、プラセボ群に比べて、デュルバルマブ群で患者の症状、機能、全体的な健康状態/生活の質のいずれも悪化することはなかった[4]。本会議で発表のあった後ろ向き解析では、PD-L1が陽性・陰性の両グループへのデュルバルマブのベネフィットとリスクの理解を深めるため、PD-L1の発現が患者報告アウトカム(PRO)にどのように影響しているのかを調査している[5]。EORTC QLQ-C30とQLQ-LC13の両調査票を用いて、PRO
(症状、機能、全体的な健康状態/生活の質)を評価した。スコアに10点の変化があれば、PROに臨床的に意義のある差異ありとした。無作為割り付けした患者713人のうち451人(63%)のPD-L1の発現率を確認した。このうちPD-L1の発現率が1%以上あったのは303人(67.2%)になり、PD-L1が陰性と判定されたのは148人(32.8%)となった。残る262人(37%)のPD-L1の発現率は不明である。

ITT解析対象集団と同様に、PD-L1の発現率が不明な患者も含めて陽性・陰性の両グループのPROはベースライン時から変化がなく、デュルバルマブ群とプラセボ群との間に臨床的に意義のある差異は認められなかった。PD-L1陽性・陰性の両グループに見られた結果がITT解析対象集団のそれと一致していたことから、PD-L1の発現は症状、機能、全体的な健康状態/生活の質に影響を与えないと思われる。このデータは、放射線化学療法後のデュルバルマブ投与を標準治療にすることのさらなる裏付けになったと、著者らは結論づけた。

MYSTIC試験:補正後の奏効期間

ランダム化非盲検国際多施設共同試験の第Ⅲ相MYSTIC試験では、PD-L1の発現率を問わずに転移性NSCLC患者を対象にして、デュルバルマブによるファーストライン治療(n=374)、デュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法n=372)、プラチナ製剤ベースの化学療法(n=372)を評価している。PD-L1の発現率が25%以上の患者のPFS(併用療法群と化学療法群と比較)およびOS(デュルバルマブ群と化学療法群の比較、併用療法群と化学療法群の比較)を主要評価項目とした。複数の解析を行ったためデュルバルマブ群のOSと化学療法群のOSとの差が統計学的有意性の生じるレベルに達しなかったが、HRが0.76(デュルバルマブ群は16.3か月、化学療法群は12.9か月、p=0.036)と臨床的に意義のある差異は認めた[6]。2年後に生存していた患者の割合は前者が38.3%、後者が22.7%である。また、化学療法群のOSに比べても併用療法群のOSに統計学的有意性のあるベネフィットはなかったものの(併用療法群は11.9か月、化学療法群は12.9か月、HR:0.85)、2年後の奏効率は併用療法群で高くなった(前者は35.4%、後者は22.7%)。

同試験に参加したPD-L1の発現率が25%以上の患者を対象に、デュルバルマブの投与後に行った免疫療法によるOSへの影響と、化学療法後に行った免疫療法によるOSへの影響とを、Reinmuthらが調査した[7]。それぞれの療法後に免疫療法を行ったのは、デュルバルマブ群が14%、化学療法群が67%である。対象者数の偏りを補正するために2段階モデルを用いたところ、HRが0.66(OSの中央値はデュルバルマブ群が16.2か月、化学療法群が11.5か月、p=0.002)と、OSへのデュルバルマブのメリットが化学療法のそれを上回ったことが、一次解析結果以上に明らかになったことを見いだした。 以上のことを受けて、化学療法群で免疫療法を受けた患者が多かったため、一次解析で得たOSのデータに交絡が生じた可能性を、探索的データ解析が示唆した。

患者の特性ごとの転帰

本会議ではMYSTIC試験に関するもう1つの解析で、臨床的に関連のある患者のサブグループ(性別、年齢、腫瘍細胞に発現するPD-L1が25%以上か25%未満か、病理組織学的所見、喫煙歴、人種、ECOGパフォーマンスステータス)ごとの治療効果に関するものがあった[8]。PD-L1の発現率が25%以上の患者もOSの解析対象としたが、どのサブグループでも化学療法群に対してデュルバルマブ群のHRに一貫して良好な傾向が見られた。なお、一次解析でも同様なことが見られている。デュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法群のHRに関しては、いずれのサブグループでも化学療法群のHRより若干劣った。発現率が25%以上の患者には制約があり、該当者も少なかったため、PD-L1の発現率別のデータの解釈には限界があった。よってさらなる調査が必要である。

高グレードの治療関連AEを中心に評価した安全性解析からは、デュルバルマブ群やデュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法群よりも化学療法群でこのAEの発現率が高くなっていることがわかった。AEによる投与中止については、デュルバルマブ群と化学療法群よりもデュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法群でわずかに多くなった。すべてのグレードの免疫関連AEは、デュルバルマブ群に比べてデュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法群の発現率が高くなっていた (併用群は28.3%、単独群は13.6%)。デュルバルマブ単独療法およびデュルバルマブ+トレメリムマブの併用療法群の安全性プロファイルはコントロール可能な内容で、これまでの結果とも一致していると著者らは述べている。

KEYNOTE-042試験の最終解析

PD-L1の発現を認める局所進行NSCLC患者を対象に、ペムブロリズマブとプラチナ製剤ベースの化学療法とを比較したKEYNOTE-042試験の最終解析結果をMokらが報告した。患者637人をどちらかの群に割り付けた。一次解析によると、ペムブロリズマブ200 mgの3週間間隔投与を最大で35コース行った場合のOSに、カルボプラチン+パクリタキセもしくはカルボプラチン+ペメトレキセドを最大で6コース行ったとき以上の改善が、すべてのPD-L1の発現率のカットポイント(tumor proportion score[TPS]が50%以上、20%以上、1%以上)で認められた[10]。

追加の6か月の追跡調査期間を終えた後でも、PD-L1の発現率にかかわらず、化学療法群に比べてペムブロリズマブ群のOSに統計学的有意性のある改善が続いていた。OSの中央値を50%以上 (ペムブロリズマブ群は20.0か月、化学療法群は12.2か月、HR:0.70)、20%以上(前者は18.0か月、後者は13.0か月、HR:0.77)、1%以上(前者は16.4か月、後者は12.1か月、HR:0.82)のTPS別に見ても、ペムブロリズマブ群で長くなっていた。ただ、TPSが1~49%の患者に行った解析に統計学的有意性のあるOSの改善は認められず(前者は13.4か月、後者は12.1か月、HR:0.91)、PD-L1の発現率が最も高いサブグループのデータがペムブロリズマブのOSへの効果を高く見せたのかもしれない。

いずれのTPSのサブグループにも、ペムブロリズマブ群に化学療法群以上のPFSの改善は見られなかった。奏効率に関しては、TPSの高いサブグループにペムブロリズマブによると思われる効果のあったことが、最終解析データからうかがえた (図2)。奏効期間については、すべてのTPSのサブグループで化学療法群以上にペムブロリズマブ群に延長を認めた。つまり、患者に治療効果が現れると、PD-L1の発現率を問わず、その効果がおよそ20か月間持続することが期待できる。なお、安全性に警鐘を鳴らすような新たな所見はなかった。この最終解析データが、ペムブロリズマブによるファーストライン治療がPD-L1を検出しているNSCLC患者に有効であるということを裏付けた。

図2:KEYNOTE-042試験で見られたPD-L1発現率別の奏効率
図2:KEYNOTE-042試験で見られたPD-L1発現率別の奏効率

KEYNOTE試験での高齢患者に関する統合データ

臨床試験では一般的に75歳以上の患者の参加が限られていることから、NosakiらはKEYNOTE-010、KEYNOTE-024、 KEYNOTE-042の3試験に参加した高齢患者へのペムブロリズマブの有効性および安全性のプール解析を行った[11]。KEYNOTE-010試験では、治療経験のある進行NSCLC患者にペムブロリズマブを2 mg/kgまたは10 mg/kgを3週間間隔で投与して、ドセタキセルと比較評価している[12]。一方、KEYNOTE-024 [13]とKEYNOTE-042[10]の両試験では、ペムブロリズマブ200 mgをファーストライン治療として3週間間隔投与し、プラチナ製剤ベースの化学療法と比較評価している。KEYNOTE-024試験ではTPSが50%以上、KEYNOTE-042試験では同じく1%以上を条件にしている。この3試験全体で75歳以上の患者149人がペムブロリズマブ群に、115人が化学療法群に割り付けられた。両群の年齢の中央値は77歳である。75歳未満の患者については、1,332人がペムブロリズマブ群に、1,016人が化学療法群に割り付けられている。

75歳以上の患者のOSを治療の経験がない患者と経験のある両患者で見てみると、化学療法群に比べてペムブロリズマブ群のOSに臨床的に意義のある改善を認めた。TPSが1%以上と50%以上の各患者群に見られたOSへのベネフィットは、他の3試験に参加した75歳未満の患者も含めた患者群に見られたベネフィットと一致していた。TPSが1%以上の患者群の場合、75歳以上とそれ未満の患者の死亡リスクがペムブロリズマブ療法によって24%低下した(HR:0.76)。TPSが50%以上の患者群の場合は、75歳以上の患者のHRは0.40、75歳未満の患者のHRは0.67となった。治療経験がなく、 PD-L1の発現率が最高レベル(TPSが50%以上)の患者に関するデータを解析したところ、75歳以上の患者のHRが0.41、75歳未満の患者のHRが0.71と、75歳以上の患者により高い改善が見られた。

ペムブロリズマブの安全性プロファイルは患者の年齢にかかわらず、他の療法のそれと同等かつ良好だった。75歳以上のペムブロリズマブ群の患者を見てもAEの発現率は上昇せず、免疫関連AEと急性輸液反応の大半はグレード1または2だった。この患者群にグレード5の免疫関連AEは発生していない。ペムブロリズマブ群の治療期間の中央値は、75歳未満の患者群よりも75歳以上の患者群で長くなっていた(75歳以上は5.6か月、75歳未満は4.3か月)。

参考文献:

  1. Antonia SJ et al., Durvalumab after chemoradiotherapy in stage III non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2017; 377(20): 1919-1929
  2. Antonia SJ et al., Overall survival with durvalumab after chemoradiotherapy in stage III NSCLC. N Engl J Med 2018; 379(24): 2342-2350
  3. Ouwens M et al., Impact of subsequent post-discontinuation immunotherapy on overall survival in patients with unresectable, stage III NSCLC from PACIFIC. ELCC 2019, abstract 830
  4. Hui R et al., Patient-reported outcomes with durvalumab after chemoradiation in locally advanced, unresectable NSCLC: data from PACIFIC. WCLC 2018, abstract PL02.02
  5. Garassino MC et al., Patient-reported outcomes with durvalumab by PD-L1 expression in unresectable, stage III NSCLC (PACIFIC). ELCC 2019, abstract LBA2
  6. Rizvi N et al., Durvalumab with or without tremelimumab vs platinum-based chemotherapy as first-line treatment for metastatic non-small cell lung cancer: MYSTIC. ESMO I-O 2018, abstract LBA6
  7. Reinmuth N et al., Effect of post-study immunotherapy on overall survival outcome in patients with metastatic NSCLC treated with first-line durvalumab vs chemotherapy in the phase 3 MYSTIC study. ELCC 2019, abstract LBA4
  8. Cho CB et al., Efficacy and safety of first-line durvalumab ± tremelimumab vs platinum-based chemotherapy based on clinical characteristics in patients with metastatic NSCLC: results from MYSTIC. ELCC 2019, abstract LBA3
  9. Mok TS et al., Final analysis of the phase 3 KEYNOTE-042 study: pembrolizumab vs. platinum-based chemotherapy as first-line therapy for patients with PD-L1-positive locally advanced or metastatic NSCLC. ELCC 2019, abstract 1020
  10. Mok TSK et al., Pembrolizumab versus chemotherapy for previously untreated, PD-L1-expressing, locally advanced or metastatic non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-042): a randomised, open-label, controlled, phase 3 trial. Lancet 2019 Apr 4 pii: S0140-6736(18)32409-7.
  11. Nosaki K et al., Safety and efficacy of pembrolizumab monotherapy in elderly patients with PD-L1 positive advanced NSCLC: pooled analysis from KEYNOTE-010, KEYNOTE-024, and KEYNOTE-042. ELCC 2019, abstract 1030_PR
  12. Herbst RS et al., Pembrolizumab versus docetaxel for previously treated, PD-L1-positive, advanced non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-010): a randomised controlled trial. Lancet 2016; 387(10027): 1540-1550
  13. Reck M et al., Pembrolizumab versus chemo­therapy for PD-L1-positive non-small-cell lung cancer. New Engl J Med 2016; 375: 1823-1833

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