序文

親愛なる皆さん、

この10年間を通じて非小細胞肺癌の治療は、最新の開発についていくことが医師にとっての課題になるような、きわめて大きな進歩を遂げてきました。肺癌治療に関わる医療従事者に継続的な教育を施す目的で、International Association for the Study of Lung Cancer (国際肺癌学会、IASLC)のWorld Conference on Lung Cancer(世界肺癌学会議、
WCLC)が現在、年1回開催されています。100ヶ国以上からの代表者が参加することで、本会議は肺癌および胸部悪性腫瘍の分野でトップの国際的なフォーラムになりました。
10月15日~18日に、第18回WCLCが日本の横浜で開催されました。プログラムには2,000件以上の口演、口演付きポスター発表、およびポスター抄録発表が組み込まれ、400名以上の著名な講演者、セッション議長、および抄録討論者がその知識を聴衆と共有しました。ある意味で、患者の転帰を実際に改善することに成功してきた最近の肺癌研究の多くがアジア諸国で行われていることが会議開催地の選択に反映されているのかもしれません。アジアで行われた臨床試験は、EGFRまたはALKチロシンキナーゼ阻害剤などの標的療法やニボルマブなどによる免疫療法の開発のほか、
S1、イリノテカンおよびオキサリプラチンを含む細胞毒性薬の導入にも大いに貢献してきました。特に肺癌では、東アジアがこの数年にわたって癌研究の拠点に進化してきました。
メモ-イン・オンコロジーのWCLC2017号では、胸部手術から標的療法、免疫療法、化学療法、中皮腫治療までに及ぶさまざまなテーマを取り上げます。全体として、この会議で発表されたデータは、確立された介入治療に適用される新しい標的、新しいバイオマーカー、新たな方法が科学的研究の焦点になるに従って、これらの分野すべてで着実な進歩が見られていることを浮き彫りにしています。もちろん、肺癌のスクリーニングは、肺癌を管理可能な疾患に変えることに大いに貢献する可能性があるもう1つの重要な分野です。全国的スクリーニングプログラムがさまざまな国で現在継続中であり、その規模が大きいことから未解決の問題に対する答が得られるかもしれません。早期発見、さらなる医薬品開発のほか、革新的な組み合わせと信頼できるバイオマーカーの特定によって、近い将来に治癒が多くの患者にとっての実現可能な目標になることを期待します。

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Fred R. Hirsch, MD, PhD
IASLC の CEO
米国コロラド州デンバー
コロラド大学薬科大学院教授

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