免疫療法の対象者は誰か

Johan Vansteenkiste, MD, PhD, Respiratory Oncology Unit/Pulmonology, University Hospital KU Leuven, Belgium

Johan Vansteenkiste, MD, PhD, Respiratory Oncology Unit/Pulmonology, University Hospital KU Leuven, Belgium

免疫療法に適した患者を特定するために使用できるマーカーはどれですか
NSCLCの免疫療法を検討するとき、我々は治療を受けた患者の20%が奏功することを認識する必要があります。奏功する可能性が高い患者の治療を方向付けするため、バイオマーカは有益でしょう。臨床現場で確立されているバイオマーカの1つは、免疫組織化学に基づいた腫瘍上でのPD-L1発現です。当面の間は、さまざまなPD-L1発現の評価方法がありますが、徐々に統合されていきそうです。そして、いずれは免疫組織科学に基づいた信頼性の高い評価が可能になるでしょう。PD-L1は、標的薬剤の処方に用いている分子的異常のような絶対的なマーカーではないですが、PD-L1は濃縮マーカーと呼ばれているものです。つまり、PD-L1発現レベルが高いほど、患者が免疫療法に応答するする可能性が高いことを意味します。PD-L1陰性の患者で応答を示す患者がいますが、このような症例はわずかです。したがって、PD-L1発現は、高価な治療に適応の患者を選択するのに役立ち、そして他の治療法が選択されているときには、免疫療法に適応する患者を選択するのに役立ちます
を参照)。

図:PD-L1発現による免疫療法に対する奏功の可能性、および推奨治療手段

図:PD-L1発現による免疫療法に対する奏功の可能性、および推奨治療手段

免疫療法のアプローチを避けるべき治療ラインはありますか。
免疫療法は、確かにNSCLCの治療において大きな進歩を示しましたが、あまり適応でない患者、さらにこの種の治療が禁忌の患者がいます。一般的な除外基準としては、このような患者では免疫系の抑制が極めて重要なので、同種骨髄移植歴のある患者や固形臓器移植歴のある患者となります。もう1つの禁忌は、自己免疫疾患または自己免疫疾患歴です。なぜなら、これらの患者はしばしば免疫抑制治療を受けているからです。これらの場合は、免疫系を刺激することはもちろん選択肢ではありません。そして、もちろん自己免疫疾患の病因であるリンパ球の刺激も選択肢ではありません。さらに、間質性肺疾患、活動性肝炎、10 mg超のプレドニゾン類の毎日投与で副腎皮質ステロイドによる全身治療を必要とする自己免疫疾患など、絶対的ではない他の弱点があります。脳転移の治療に高用量の副腎皮質ホルモンを必要とする癌患者が典型的な例です。

医療償還や利用可能性など、現実的な制限に関する世界的な状況をどのように評価されていますか。
我々は、NSCLCにおける免疫療法の進歩を見てきましたが、これらの薬剤のほとんどは高価です。ですので、この治療法の利用状況は、世界の地域によって大きく異なります。先進国では、免疫療法に対して医療償還が徐々に実施され始めていますが、その先進国でさえ、コストパフォーマンスに関して非常に批判的に見ることが出来ます。例えば、英国の国立機関であるNICEは、コストが患者へ実質的な付加価値と関連していないという理由で、NSCLCへの免疫療法の適応を拒絶しました。あきらかに、道のりはまだ遠いです。免疫療法の薬剤の承認が増え、競争となり、コストが下がることを願っています。それによって、多くの患者に、そして多くの国で、この重要な療法が利用しやすくなるでしょう。

Johan Vansteenkiste at the WCLC congress

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Johan Vansteenkiste discusses the practical considerations for immunotherapy.

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