序文

David R. Gandara, MD Professor of Medicine UC Davis Comprehensive Cancer Center Sacramento, California, USA

David R. Gandara, MD 医学部教授 UC デイビス・コンプリヘンシブ・キャンサー・センター 米国カルフォルニア州サクラメント

親愛なる皆さん、

2017年9月8日~12日にスペイン・マドリードで開催された今年のESMO学会で、治療法を変える可能性のある肺癌分野での注目に値するデータが発表された。臨床研究者は免疫治療薬の最適使用量を決定する多数の条件と制限を休むことなく調査しているため、免疫治療薬アプローチが再び大きな話題となった。
本号のメモ イン・オンコロジーでは、PD-L1の発現に関わらずPD-L1阻害薬アテゾリズマブの活性を確認し、患者の血液中の腫瘍変異負荷量の評価が実現可能で、治療の利点と相関することを示したOAKとPOPLARの臨床試験の分析を詳しく説明する。PD-L1阻害薬デュルバルマブはステージIIIの肺癌患者でのPACIFIC試験で優れた結果を示し、したがって顕著な満たされていないニーズに対する回答を提供する。さらなる分析は高齢者でのPD-1阻害薬ニボルマブの活性と、ニボルマブを用いた最適治療期間に関したものだった。
同様に、Toll様受容体9作動薬による免疫刺激は、進展型小細胞肺癌患者に有望なアプローチである。免疫治療薬の使用に適している別の兆候は悪性中皮腫だと思われる。この疾患は予後不良になることが知られている。2017年ESMO学会で発表されたいくつかの分析では、悪性胸膜中皮腫患者でのさまざまな免疫治療薬の臨床的に重要な利点を提言した。
標的療法の分野では、直接比較によって、確立した第一選択化合物を上回る強力な最近開発された薬剤の優位性を示したため、薬剤の優先順位付けに関する討論が勢いを増している。このことは、EGFR-変異肺癌でのゲフィチニブとエルロチニブを凌ぐEGFRチロシンキナーゼ阻害剤オシメルチニブにとって真実であるほか、ALK-陽性条件でのクリゾチニブと比較した時に無進行生存率と中枢神経系転帰の改善を生じさせるALK阻害剤にとっても真実である。最大の生存利益の達成に欠かせない、複数次の治療全体にわたる薬剤の最適な継承を決定する必要がまだある。
最後になるが、BRAFなどの希少ドライバー変異のある患者について調査中の標的アプローチに関して進展を見せた。併用で投与した場合、BRAF阻害剤ダブラフェニブとMEK阻害剤トラメチニブはBRAF-陽性肺癌患者での第一選択戦略として相当な抗腫瘍活性を示した。

More posts

ALK-陽性NSCLC:クリゾチニブおよびアレクチニブに関する最新情報

PROFILE 1014は、ALK-陽性肺癌患者の第一選択治療でのALK阻害剤クリゾチニブの役割を定義するための最初の研究であった。この研究は、第一選択治療の条件下におけるALK-陽性、局所進行、再発または転移非扁平上皮NSCLC患者への1日2回、250mgのクリゾチニブ(n = 172)と、ペメトレキセドに加えてシスプラチン(n = 171)から構成された。有効性の主要評価項目(すなわち、PFSに関してクリゾチニブ対化学療法の優位性)を0.454のHRで満たした(PFS中央値、クリゾチニブと化学療法に関してそれぞれ、10.9ヶ月対7.0ヶ月; p

形質転換に起因するSCLCの特性および転帰

GFR TKI療法に対する耐性の取得時にEGFR-変異腺癌の少ないが有意な割合がSCLCに形質転換する[1]。さらに、EGFR 変異を隠すデノボ SCLCの例が報告されている[2]。SCLC-形質転換EGFR-変異肺癌の臨床的特徴と臨床経過はほとんど不明であるため、Marcoux等は2006年~2017年に治療を受けたEGFR-変異SCLC患者16人の記録を遡及的に再検討した[3]。この分析によると、腫瘍はその創始者EGFR変異を維持し、T790M.とは相互排他的であった。

悪性中皮腫で前例のない転帰範囲に到達

悪性胸膜中皮腫(MPM)は希ですが、予後不良の侵襲性の強い癌です。ベバシズマブの有無にかかわらず、プラチナおよびペメトレキセドとの併用化学療法が第一選択治療での標準である一方、今まで承認された第二選択法は確立されなかった[1]。この状況ではゲムシタビンまたはビノレルビンが使用されることが多いが、これらは限られた活性だけを示す[2]。 しかし、MPM患者での免疫療法の評価には強い論理的根拠がある。

インタビュー:生存は複数の治療ラインの結果である

FLAURAは、その結果がゲフィチニブおよびエルロチニブよりもオシメルチニブを支持するため、肯定的試験である。現在では、EGFR-変異肺癌の一次選択治療に利用できる複数の選択肢のうちでこの療法を検討する必要がある。オシメルチニブを除いて、第一世代TKIエルロチニブおよびゲフィチニブ、そして第二世代TKIアファチニブがあるが、恐らく近いうちにダコミチニブも含まれ、そのデータは前回のASCO会議で発表された。

EGFR-変異肺癌:新たなデータを考慮した大きな話題としての優先順位付け

第一世代上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)エルロチニブおよびゲフィチニブのほか、第二世代EGFR TKIアファチニブも、EGFR-変異NSCLC患者の推奨第一選択肢である[1]。しかし、初期奏効の程度に関わらず、患者の60%以上はT790M耐性変異を発症した[2]。EGFR変異とEGFR T790M耐性変異の両方の活性化に対して選択性がある第三世代EGFR TKIオシメルチニブが、進行T790M-陽性NSCLC患者の治療のために米国と欧州で最近承認を受けた。

早期NSCLCの切除後のCTベースの経過観察に関する無作為化所見

早期NSCLCの手術後の最適な経過観察に関して、ESMOガイドラインでは、病歴、身体検査、そしてできれば12ヶ月時と24ヶ月時の造影スパイラル胸部CTを含む通院により、2~3年間、6ヶ月毎に患者観察を実施することを推奨した[1]。その後、二次原発腫瘍(SPC)を発見するために病歴、身体検査、胸部CTを含み年1回の通院を実施する必要があった。しかし、これらの勧告は無作為化臨床試験に基づいたものではなく、そのため、軽度から中等度の証拠だけがある。