肺がん検診にボリュームCTを用いることで肺がんの死亡率が大幅に低下:NELSON試験

2011年に発表のあった全米肺がん検診試験(NLST)からは、3年にわたり低線量CTを用いた検診を毎年行った結果、胸部X腺検査による検診に比べて肺がんの死亡率が相対的に20%低下したことが、数年前に示された[1]。ただし、今に至るまで、これ以外のランダム化対照試験で死亡率への有用性は示されていない。 

オランダとベルギーでは、地域住民ベースで募集した発症リスクの高い人を対象に、ボリュームCTを用いた肺がん検診と肺がん検診を行わないことを、ランダム化対照試験であるNELSON試験で比較した[2]。
50〜74歳の男女606,409人のうち30,959人が、質問票への回答結果にもとづいて同試験の対象となった。参加者の喫煙歴は30年超で1日に11本以上、もしくは25年超で1日に16本以上だった。過去10年間の禁煙も組み入れ基準に入っている。最終的に、15,792人が検診群または対照群のどちらかに割り付けられた(n=7,892)。参加者の80%超は男性で、年齢の中央値は60歳をわずかに切っており、喫煙指数は約
40 pack-yearだった。参加者の半数強は試験実施の時点で喫煙者だった。肺結節の体積と体積倍加時間にもとづいて測定した。肺がん検診を行ったのは、1年目、2年目、4年目、6.5年目である。数年間は検診を受ける対象者も多かったが、年数がたつと参加者は減少した。 

合計4回の検診で結果が不確定となったのは9.3%だった。さらに検査を行うため紹介した率はわずか2.3%だったことを、同試験が示している。最終的に陽性結果が出た率は2.2%となり、肺がんの検出率0.9%につながった。この数字は、陽性結果が出た場合の、肺がん検出率の確率41%と一致する(具体的には陽性的中率)。病期分布を解析したところ、IA期の検出率がそれ以降の病期の検出率より大幅に高くなり、Netherlands Cancer Registryのデータと一致した対照群に見られたことと対照的な内容になった。 

10年後の肺がんによる死亡率比は男性で0.74(p=0.003)、女性で0.61(p=0.0543)
となり、ボリュームCTを用いた検診で肺がんによる男性の死亡率を26%、女性の死亡率を39%低下させた。男性のリスク低下が安定していることが証明されたが、女性のリスク低下は8年後で61%、9年後で53%とより良い結果が得られた。NELSON試験の成績は全体的にNLSTの成績より良いもので、男女両方で肺がんによる死亡率を大きく減少させることを示した。 

 

参考文献:

  1. The National Lung Screening Trial Research Team, Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. N Engl J Med 2011; 365(5): 395-409
  2. De Koning HJ et al., Effects of volume CT lung cancer screening: mortality results of the NELSON randomised-controlled population-based screening trial. WCLC 2018, PL02.05