ATALANTE-1試験:がん免疫療法が不成功に終わった後の抗がんワクチン使用

OSE-2101は、HLA-A2+拘束性修飾ネオエピトープを利用した抗がんワクチンで、肺がんで発現率の高い腫瘍関連抗原のCEA、p53、HER2、MAGE-2、MAGE-3を標的にしている[1]。HLA-A2は血清で測定するが、患者の半数ほどが陽性を示す。プラチナ製剤ベースの化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法もしくは逐次療法が失敗した、HLA-A2陽性の進行NSCLC患者と同じく転移性NSCLC患者を対象に、第Ⅲ相ランダム化比較ATALANTE-1試験でOSE-2101を評価した。前治療の最後のラインで免疫チェックポイント阻害薬を使用したが、一次耐性や二次耐性(獲得耐性)により治療に失敗していた。被験群には、OSE-2101を6回分は3週間間隔で皮下投与、その後は最長で1年間8週間間隔で投与し、病勢が進行するまで12週間間隔で投与した。対して、対照群には病勢が進行するまでドセタキセルまたはペメトレキセドを3週間間隔で単独投与した。被験群の103人でOSの延長効果がみられ、1年後のOSが46%になったのに対して対照群では36%だった(HR: 0.71)[2]。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより同試験は2020年4月に中止になったため、新たな対象母集団を募った。新たに対象になった118人は、化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の逐次療法後に二次耐性を獲得した患者である。Besseらが、この母集団に関する一次解析の最終成績をESMO 2021で発表した。

被験群では生存期間の中央値が3.6か月と、予想通りに統計的有意な改善がみられ(被験群は11.1か月、対照群は7.5か月、HR:0.59、p=0.017)、被験群ではそれに加えて増悪後生存期間の延長にも統計的有意性がみられた(同7.7か月、同4.6か月、HR:0.46、p=0.004)。6か月後の病勢コントロール率は両群で大差なく(25%と24 %、p=0.87)、PFSの中央値も同様だった(2.7か月と3.2か月、p=0.40)。OSE-2101の忍容性は良好で、グレード3から5の治療関連AEの発現率も低くなっていた(11%、35%)。注射部位反応が被験群に最も多く現れ(全グレードで39%)、サイトカイン放出症候群が8%にみられたが、このうちの1人(1%)はグレード3に該当した。また、ECOG PSが2以上に悪化するまでの期間(8.6か月と3.3か月、HR:0.45、p=0.0005)およびEORTC QLQ-C30調査票に基づいた生活の質(p=0.04)についても、被験群に統計的有意な改善があった。治療法の選択肢が限られている状況では、OSE-2101のリスク・ベネフィット比は化学療法のそれよりも良好だと著者らが結論の中で述べた。

REFERENCES

  1. Beebe M et al., Formulation and characterization of a ten-peptide single-vial vaccine, EP-2101, designed to induce cytotoxic T-lymphocyte responses for cancer immunotherapy. Hum Vaccin 2008; 4(3): 210-218
  2. Giaconne G et al., Activity of OSE-2101 in HLA-A2+ non-small cell lung cancer patients after failure to immune checkpoint inhibitors: Step 1 results of phase III ATALANTE-1 randomised trial. ESMO 2020 1260M0
  3. Besse B et al., Activity of OSE-2101 in HLA-A2+ non-small cell lung cancer patients after failure to immune checkpoint inhibitors: final results of phase 3 Atalante-1 randomised trial. ESMO 2021, LBA47

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