J-AXEL試験:前治療歴のあるNSCLC患者にnab-パクリタキセルがドセタキセルに匹敵する効果を示す
界面活性剤やアルコールを含有しない、アルブミン結合型のパクリタキセルのナノ粒子製剤であるnab-パクリタキセルについては多岐にわたるメリットが報告されている[1~3]。 第Ⅱ相試験では、前治療歴のある進行NSCLC患者のORRが32%、PFSの中央値が5か月になるといった、良好な成績がみられている。
界面活性剤やアルコールを含有しない、アルブミン結合型のパクリタキセルのナノ粒子製剤であるnab-パクリタキセルについては多岐にわたるメリットが報告されている[1~3]。 第Ⅱ相試験では、前治療歴のある進行NSCLC患者のORRが32%、PFSの中央値が5か月になるといった、良好な成績がみられている。
再発悪性中皮腫患者のOSの改善効果を示した第Ⅲ相ランダム化比較試験は最近まで存在していなかった。第Ⅱ相試験の3試験でニボルマブ単独療法のPD-1阻害作用が認められたことで、ニボルマブが日本で承認を受けた。 CONFIRM試験は、再発中皮腫患者を対象にPD-1阻害薬の有効性と安全性を調べた初の第Ⅲ相プラセボ対照ランダム化比較試験である。
低線量CT(LDCT)には効果があり、広く利用するべきだという考えに異を唱える人はいないでしょう。どの国でも費用と認識不足の2つがLDCTの実施の足かせになっていると思います。 LDCTの費用対効果については多くの文献で示されていますし、費用対効果の高さに軍配を上げる文献もあります。肺がん検診に利用していますが、その際に(冠動脈石灰化スコアに基づいて)心疾患や肺気腫といった他の疾患も同時に発見することができます。
KEYNOTE-189試験でOSおよびPFSに著しい延長効果をもたらした治療レジメンを、EGFR遺伝子・ALK遺伝子感受性変異を伴わない、Ⅳ期の非扁平上皮NSCLCへのファーストラインの標準治療として行い、評価した。 ペムブロリズマブ+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法を最大で4コースまで行い、その後にペムブロリズマブ+ペメトレキセド併用療法を最大で31コース受けた群(n=410)を、プラセボ+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法の実施後にプラセボ+ペメトレキセド併用療法を受けた群(n=206)と比較し評価した。
小細胞肺がん(SCLC)は転写因子に依存する悪性腫瘍であることがわかっているので、新規治療法はトランス活性化転写因子の阻害薬で構成している。そこで、Rudinらは、主な4種類の転写制御因子の差次的発現ごとにSCLCを4通りのサブタイプに分類した。 発がん性転写因子を選択的に阻害し、がん微小環境を調節することで作用するルルビネクテジンは、第Ⅱ相試験成績に基づいて、プラチナ製剤ベースの化学療法の最中やその後に病勢が進行した転移性SCLC患者への治療薬として、FDAより2020年6月に迅速承認を受けた。
抗体薬物複合体が登場したことでまったく新しい常識が生まれたと思っています。分子標的治療はある特定の遺伝子変異の発現が必須ですし、免疫療法は腫瘍にネオアンチゲンが発現していないと効きません。 腫瘍がどちらの治療にも反応することが前提にもなっています。ご存じのように両治療とも効果がいつまでも続くわけではありませんし、患者さん全員に効果があるわけでもなく、それに全員に標的の遺伝子変異があるとは限りません。
EGFRエクソン20挿入遺伝子変異は、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者のおよそ5~12%、NSCLC全体で見れば2%から検出されている。エクソン20挿入遺伝子変異はL858R点突然変異、エクソン19欠失変異に次いで3番目に多く検出されているが、同変異を伴う肺がんの治療にEGFR TKIは使えない。 TKIに結合するEGFRの部位の構造が立体的になるため、EGFR TKIに感受性を示さなくなるのがその理由である。
KRAS p.G12C変異は肺がん患者の約13%に生じるがん関連の主要な遺伝子変異で、転帰不良の一因にもなっている。極めて選択性が高いKRASG12Cの画期的な不可逆的阻害薬であるソトラシブが、第Ⅰ相CodeBreaK 100試験に参加した、前治療歴の多いNSCLC患者コホート59人にしっかりとした臨床的有用性を示した。 本学会では、申請のもとになる第Ⅱ相オープンラベル単群試験の対象になったNSCLC患者コホートに関する成績をLiらが発表した 。
非小細胞肺がん(NSCLC)患者のおよそ30%は、診断を受けた時点で切除可能な段階にある。この場合は根治手術が推奨療法となり、術後はⅡ期・ⅢA期の患者とIB期の一部の患者にはシスプラチンベースのアジュバント化学療法を行っているが、アジュバント化学療法の実施状態に関わらずどのステージでも再発率は高止まりしている。NSCLCを完全切除したIB期からⅢA期の患者を対象にした第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較ADAURA試験で、第三世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)・オシメルチニブを術後に投与した群で無病生存期間(DFS)に統計学的有意かつ臨床的意義のある延長効果(HR:0.20、p<0.0001)が認められた。
2020年度世界肺癌学会(WCLC)は当初、昨年の8月にシンガポールで開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に蔓延したため今年1月に延期となり、同月28日から31日にかけて何とかバーチャル会議を開催することができました。肺がんをはじめ胸部悪性腫瘍領域の科学者・研究者・患者支援団体が一堂に会する、世界有数の会議であるWCLCは今回も参加者同士を結びつけ、研究や治療法についての最新の知識や知見を互いに分かち合って学ぶ、絶好の場になりました。