免疫チェックポイント阻害:包括的な利点はあるが、リスクがないわけではない

CheckMate 227試験の3年間の結果

第III相ランダム化比較試験のCheckMate227試験では、腫瘍のPD-L1発現の有無に関係なく進行NSCLC患者を対象に、一次治療としてニボルマブとイピリムマブの併用(NI)を化学療法と比較したところ、全生存期間(OS)が有意に延長することが示された[1]。ASCO年次総会では、 Ramalingamらが同試験のパート1から得られた有効性と安全性に関する3年間の最新結果を発表した[2]。パート1は、NI(n = 396)を化学療法(n = 397)およびニボルマブ単剤(n = 396)と比較したパート1aと、 NI(n = 187)を化学療法(n = 186)およびニボルマブと化学療法の併用(n = 177)と比較したパート1bから構成されていた。パート1aの患者にはPD-L1発現が1%以上認められたのに対し、パート1bの患者ではPD-L1発現が陰性(1%未満)であった。

3年経過した時点でも、PD-L1発現に関係なく、NIによる一次治療には化学療法よりも長期の治療効果が引き続き認められていた。パート1aでの3年OS率は、併用療法では33%であったのに対し、化学療法では22%であった(ハザード比 0.79)。パート1bでは、前者が34%、後者が15%であった(ハザード比 0.64)。NI による治療開始から3年後も、治療に反応した患者の3分の1以上には依然として奏効が認められた(PD-L1発現率1%以上では38%、PD-L1発現率1%未満では34%)。一方、化学療法群でのそれぞれの奏効率は5%未満であった。また、この併用療法はニボルマブ単剤およびニボルマブと化学療法の併用のいずれに対しても、PD-L1発現の有無に関係なく、持続的な優越性を示した。

探索的ランドマーク解析によって、6カ月時点の奏効が長期OSに与える影響を評価した。この解析によれば、PD-L1発現率が1%以上の患者では、NIによって6カ月時点で完全奏効または部分奏効に達している患者の70%が3年経過時に生存していた。化学療法群では、それが39%にとどまった。PD-L1発現が1%未満の患者群でも同様の結果が観察された(前者 82%、後者 25%)。安全性について追跡期間を最低36.3カ月以上に延長しても、併用療法に関して新たな懸念はなかった。皮膚、消化管、内分泌系および他の領域に発現したNIによる治療関連有害事象を選択して観察したところ、時間の経過とともに減少した。著者らは結論として、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、進行NSCLC患者に対して化学療法の使用を減らすことのできる、一次治療の新たな治療選択肢であると結んだ。2020年5月には、米国ではこの適応に対して同レジメンが承認されていたが、その4カ月前に欧州での申請は取り下げられていた。

化学療法2サイクルとチェックポイント阻害薬の併用:CheckMate 9LA試験

第III相ランダム化比較試験のCheckMate9LA試験は、ニボルマブとイピリムマブの併用(NI)による一次治療に化学療法を数サイクル追加することによって、CheckMate 227試験で観察されたNIによる長期のOS効果を積み上げている間に、速やかな病勢コントロールを提供できるのではないかという仮定に基づいて実施された。IV期または再発したNSCLC患者719人のうち、361人が化学療法2サイクルを併用するNIによる治療を受けた。対照群(n = 358)には化学療法4サイクルが投与され、そのあと、非扁平上皮がんの患者にはペメトレキセドによる維持療法を受ける選択肢が与えられた。主要評価項目はOSとした。

CheckMate 9LA試験は、最低追跡期間8.1カ月経過後、事前に計画されたOS中間解析の時点で主要評価項目を満たした。すなわち、免疫療法ベースのレジメンは、化学療法のみと比較して、統計的に有意な効果を示した(免疫療法 14.1カ月、対照 10.7カ月、ハザード比 0.69、p = 0.0006)[3]。OS延長効果は時間の経過とともに増大した。追跡期間12.7カ月後の最新結果では、OS中央値はそれぞれ15.6カ月と10.9カ月であった(ハザード比 0.66、図1)。組織型(扁平上皮または非扁平上皮)およびPD-L1発現率(1%未満、1%以上、1~49%、 50%以上)によらず、生存に関しては免疫療法ベースの治療を受けた患者のほうが良好であった。12カ月時点で、PFS率は免疫療法群が33%、対照群が18%(ハザード比 0.68)であり、治療に反応した患者は前者が49%、後者が24%であった。

併用療法による新たな有害事象の発現はなかった。主な治療関連有害事象は、グレードに関係なく、悪心、貧血、無力症および下痢であった。免疫関連有害事象はほとんどがグレード1および2であった。全体として、CheckMate 9LA試験によって、進行NSCLC患者に対する一次治療の新たな選択肢として、ニボルマブとイピリムマブの併用に化学療法を数サイクルを追加することを検討する必要があることが実証された。実際、2020年5月に米国では食品医薬品局から承認が得られている。

図1:CheckMate 9LA試験:ニボルマブとイピリムマブの併用に化学療法を組み合わせた併用療法を化学療法単独と比較したときの生存率にみられる持続効果

図1:CheckMate 9LA試験:ニボルマブとイピリムマブの併用に化学療法を組み合わせた併用療法を化学療法単独と比較したときの生存率にみられる持続効果

デュルバルマブ・トレメリムマブの併用に化学療法を追加または追加なしの比較

IV期NSCLCに対する一次治療で免疫チェックポイント阻害薬2剤と化学療法の併用療法を評価するもう一つの試験が、第II相国際共同ランダム化比較試験のCCTG BR.34試験である[4]。患者は、デュルバルマブとトレメリムマブの併用のあと、デュルバルマブによる維持療法を受ける群(n = 150)または、同じ免疫療法レジメンにプラチナ併用化学療法を追加した治療のあと、組織型によって、デュルバルマブ単剤またはペメトレキセドとの併用による維持療法を受ける群(n = 151)のいずれかに割り当てられた。化学療法の追加によってOSの延長は認められなかった(ハザード比 0.88)が、併用治療戦略は免疫療法のみの治療と比較して、PFS(前者7.7カ月、後者3.2カ月、ハザード比, 0.67、p = 0.0035)およびORR(p = 0.033)に有意な効果をもたらした。

化学療法の追加による効果は、血中腫瘍遺伝子変異量(bTMB)が20変異/メガベース(mut/Mb)未満の患者で他の患者よりも大きいようであったが、相互作用試験は否定的であった。試験担当医師らによれば、この結果から、ランダム化比較試験でさらに評価する必要があると考えられる。治療の種類によらず、bTMBが20 mut/Mb以上の患者では、bTMBが20 mut/Mb未満の患者よりもOSおよびPFSが長かったことから、(予測効果というより)予後効果が示唆される。PD-L1発現率には化学療法の追加による特異的な効果との関連はなかった。重篤な有害事象が発生した患者数は化学療法併用群のほうが多かったが、免疫関連有害事象の発現率は両群間で同等であった。QOL解析、血漿のゲノム解析および本試験の費用分析がそれぞれ進行中である。

KEYNOTE-189試験の最終解析

第III相二重盲検ランダム化比較試験のKEYNOTE-189試験では、PD-L1発現の有無に関係なく、未治療で転移性の非扁平上皮NSCLC患者を対象にしたところ、ペムブロリズマブとプラチナベースの化学療法の併用療法は、プラセボと化学療法の組み合わせと比較して、OSおよびPFSを初めて有意に延長した[5, 6]。ASCO 2020では、Rodriguez-AbreuらがKEYNOTE-189試験に関して、無作為割り付けからデータカットオフまでの期間中央値が31.0カ月を超えた後に実施されたプロトコル指定の最終解析結果を発表した[7]。

長期の追跡期間を経ても、ペムブロリズマブとペメトレキセドおよびプラチナ製剤の併用療法には、化学療法単独と比較して有効性の評価項目に引き続き改善がみられた。OS中央値は併用療法群では対照群の約2倍となった(前者 22.0カ月、後者 10.6カ月、ハザード比 0.56)。これはPFS(併用療法 9.0カ月、対照 4.9カ月、ハザード比 0.49)および、次の治療段階でのPFSを意味するPFS2(併用療法 17.0カ月、対照 9.0カ月、ハザード比 0.50)にもあてはまる。客観的奏効率は併用療法群が48.3%、対照群が19.9%であった。PD-L1発現は有効性の評価項目のいずれにも影響を与えなかった。ORRは、試験治療群でもペムブロリズマブによる35サイクルの治療を完遂した患者群(n = 56)では85.7%と高く、これには完全奏効に達した4人が含まれている。このコホートでは、OS中央値はまだ未到達であった。

著者らは結論として、ペムブロリズマブとペメトレキセドおよびプラチナ製剤の併用療法は、新たに診断された転移性非扁平上皮NSCLC患者に対する標準療法のひとつであるとした。

抗TIGIT抗体チラゴルマブ

共阻害受容体であるTIGITはさまざまな免疫細胞に発現しており、腫瘍細胞および抗原提示細胞の表面にあるリガンドに結合して、T細胞およびNK細胞を阻害する[8-10]。抗TIGIT抗体がその結合反応を抑えることによって、抗腫瘍反応を復活させれば、抗PD-(L)1抗体の効果を補完できるのではないかという仮説が立てられた。実際、抗TIGITモノクローナル抗体のチラゴルマブは、第I相GO30103試験でアテゾリズマブと併用したところ、効果を示した(NCT02794571)。この観察結果に基づいて、第II相二重盲検ランダム化比較試験のCITYSCAPE試験では、 PD-L1発現陽性のIV期NSCLC患者の一次治療として、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用(n = 67)をプラセボとアテゾリズマブ(n = 68)の組み合わせと比較して評価した[11]。

ORRとPFSを共主要評価項目とした。追跡期間中央値10.9カ月を超えた時点で、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用をプラセボとアテゾリズマブの組み合わせと比較した結果、ITT解析対象集団では、臨床的に意義のある改善がORR(前者 37%、後者 21%)およびPFS(前者 5.55カ月、後者 3.88カ月、ハザード比 0.58)に認められた。また、PD-L1陽性率(TPS)が50%以上の患者にはORRとPFSの両方に効果が観察されたものの、TPSが1~49%の患者には観察されなかったことが注目される()。奏効期間とOSは未到達である。

チラゴルマブとアテゾリズマブの併用は忍容性に優れており、その安全性プロファイルは対象としたレジメンと類似していた。試験治療群では免疫介在性毒性の発現率が高かったものの、そのような有害事象は主にグレード1または2であり、管理可能であった。進行中の第III相SKYSCRAPER-01試験は、PD-L1陽性(TPS 50%以上)で未治療の患者を対象に、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用で観察された効果と安全性を確認することを目的としている。

表 一次治療としてチラゴルマブとアテゾリズマブの併用をアテゾリズマブ単独と比較したときのORRとPFSの結果

過少報告されている有害事象としての間質性肺炎

進行NSCLC患者の治療に対する免疫療法の重要性が高まる一方、チェックポイント阻害薬による間質性肺炎(CIP)など生命を脅かす恐れがある有害事象に対処する必要があり、検討を重ねるに値する。Spielerらは、ニボルマブ単剤による治療を受けている進行NSCLC患者に関してCIPが過少に報告されているのではないか、また、臨床的に誤って分類されているCIPを、複数の放射線画像を統合して解析することによって明らかにした画像的情報(ラジオミクス)(radiomics)から特定できるのではないかという仮説を立てた[12]。ある施設内審査委員会が承認したデータベースによれば、ニボルマブによる治療を受けたNSCLC患者159人中9人(5%)がCIP(全グレード)と診断されていた。試験担当医師らは追加として、同患者集団からCIPと診断されていない患者40人を無作為に選択した。全49例について、免疫療法を受ける直前のCT検査で得られたがんのない肺の画像を分割、描写、解析して、CIPに関連するラジオミクスの特徴があるかどうかを確認した。ラジオミクスを組み入れたロジスティック回帰モデルから、CIPの確率スコアを各患者に割り当てた。

ラジオミクスの6つの特徴にはCIPとの相関性があることが示された。ラジオミクスに基づく確率モデルによれば、臨床的にCIPと診断されていない患者40人中7人(17.5%)でCIPである確率が50%を超えていた。患者カルテを再検討したところ、この7人の患者のうち6人にはCIPが強く示唆されるような症状または画像的特徴があったことが明らかになった。したがって、CIPの発現率は過少報告されており、ラジオミクスの特徴から、臨床的に誤って分類された症例を特定できる可能性があると考えられる。今後の研究の方向として、本研究を全データベースまで拡大させること、血中バイオマーカーとラジオミクスの特徴の相関性の検討、解析に腫瘍量と放射線療法を共変量として追加するなどがある。

間質性肺炎後のデュルバルマブの再投与

Saitoらは、実臨床でのデュルバルマブの使用が承認されたあとに化学放射線療法を受けた、局所進行NSCLC患者にみられた間質性肺炎または放射線性間質性肺炎について、発症のタイミング、臨床経過、重症度、管理および臨床アウトカムを調べた[13]。この後ろ向き研究は日本の17施設で実施され、2018年5月から2019年5月の間に同時化学放射線療法を開始した連続する患者を対象とした。解析の対象集団となったのは275人であった。デュルバルマブによる地固め療法が74.2%に実施された。

間質性肺炎が80%を超える患者に発現したが、その大半はグレード1(48.7%)とグレード2(26.5%)であり、間質性肺炎が致死的となったのは1.5%であった(図2)。患者の33%が間質性肺炎の何らかの症状を呈していた(グレード2以上)。ここでは、放射線量20 Gy 以上(V20)を受けた肺が独立したリスク因子として確認された。患者の6%にグレード3以上の間質性肺炎がみられた。間質性肺炎のあとに在宅酸素療法を必要とした患者は13人(5%)であった。間質性肺炎の発現時期の中央値は化学放射線療法開始後14週間であり、デュルバルマブによる治療開始から約4~7週間後であった。

デュルバルマブ地固め療法を受けている間に間質性肺炎が発現した患者のなかで、ステロイド治療を受けたのは25%であった。この患者群のうち、41%に対してデュルバルマブによる再治療が行われ、そのほとんどに間質性肺炎の再発はなかった。再発した患者の半数が治療の中断を必要とせず、致死的な再発も慢性呼吸不全もなかった。著者らは、間質性肺炎に対するステロイド治療のあと、慎重に検討したうえで、デュルバルマブの再投与が選択肢となる場合があると述べている。

図2:化学放射線療法とデュルバルマブ地固め療法を受けたIII期NSCLC患者での間質性肺炎の発現率と重症度

図2:化学放射線療法とデュルバルマブ地固め療法を受けたIII期NSCLC患者での間質性肺炎の発現率と重症度

参考文献

  1. Hellmann MD et al., Nivolumab plus ipilimumab in advanced non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2019; 381: 2020-2031
  2. Ramalingam SS et al., Nivolumab + ipilimumab versus platinum-doublet chemotherapy as first-line treatment for advanced non-small cell lung cancer: Three-year update from CheckMate 227 Part 1. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9500)
  3. Reck M et al., Nivolumab + ipilimumab + 2 cycles of platinum-doublet chemotherapy vs. 4 cycles chemo as first-line treatment for stage IV/recurrent non-small cell lung cancer (NSCLC): CheckMate 9LA. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9501)
  4. Leighl NB et al., CCTG BR.34: A randomized trial of durvalumab and tremelimumab +/- platinum-based chemotherapy in patients with metastatic (stage IV) squamous or nonsquamous non-small cell lung cancer (NSCLC). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9502)
  5. Gandhi L et al., Pembrolizumab plus chemotherapy in metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med 2018; 378(22): 2078-2092
  6. Gadgeel S et al., Updated analysis from KEYNOTE-189: Pembrolizumab or placebo plus pemetrexed and platinum for previously untreated metastatic nonsquamous non-small-cell lung cancer. J Clin Oncol 2020; 38(14): 1505-1517
  7. Rodriguez-Abreu D et al., Protocol-specified final analysis of KEYNOTE-189: pemetrexed-platinum chemotherapy with or without pembrolizumab in patients with previously untreated metastatic nonsquamous NSCLC. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9582)
  8. Manieri NA et al., TIGIT: A key inhibitor of the cancer immunity cycle. Trends Immunol 2017; 38(1): 20-28
  9. Rotte A et al., Mechanistic overview of immune checkpoints to support the rational design of their combinations in cancer immunotherapy. Ann Oncol 2018; 29(1): 71-83
  10. Yu X et al., The surface protein TIGIT suppresses T cell activation by promoting the generation of mature immunoregulatory dendritic cells. Nat Immunol 2009; 10: 48-57
  11. Rodriguez-Abreu D et al., CITYSCAPE: Primary analysis of a randomized, double-blind, phase II study of the anti-TIGIT antibody tiragolumab plus atezolizumab versus placebo plus atezo as first-line treatment in patients with PD-L1-selected NSCLC. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9503)
  12. Spieler B et al., Is checkpoint inhibitor pneumonitis underreported in patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) on PD-1 inhibitor monotherapy? J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9579)
  13. Saito G et al., Real-world survey of pneumonitis/radiation pneumonitis among locally advanced NSCLC with chemoradiotherapy after the approval of durvalumab: A multicenter retrospective cohort study (HOPE-005/CRIMSON). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 9039)

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