小細胞肺がん:限界をさらに広げる
化学療法と胸部放射線療法(TRT)の同時併用は、1990年代初期から限局型小細胞肺がん(SCLC)の標準治療となっており、1日2回照射、総線量45GyのTRTが最も広く推奨されている治療スケジュールである。 しかし、化学放射線治療後に治癒する患者は3分の1未満である。最大50%の患者では、生存率の低下と関連する局所進行がみられるようになる。
化学療法と胸部放射線療法(TRT)の同時併用は、1990年代初期から限局型小細胞肺がん(SCLC)の標準治療となっており、1日2回照射、総線量45GyのTRTが最も広く推奨されている治療スケジュールである。 しかし、化学放射線治療後に治癒する患者は3分の1未満である。最大50%の患者では、生存率の低下と関連する局所進行がみられるようになる。
トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、ヒト化抗HER2モノクローナル抗体をトポイソメラーゼI阻害薬のエクサテカン誘導体に連結させた新規の抗体薬物複合体である。 第II相多施設共同非盲検試験のDESTINY-Lung01試験では、HER2 遺伝子発現(コホート1、n = 42)またはHER2 活性化変異が認められる再発または難治性の進行NSCLC患者(コホート2、n = 42)を対象に、T-DXd 6.4 mg/kgを3週間に1回投与して検証した。
国際共同研究であるTERAVOLTは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した胸部悪性腫瘍患者が入院や死亡のリスクにさらされる要因を確認して、このような患者の臨床経過を明らかにし、生存に影響を与える可能性がある治療戦略を特定するために設立された。 COVID-19と診断された胸部がん患者、すなわちRT-PCR法により感染が確認された症例とCOVID-19が疑われる症例をデータベースに登録しているところである。
経口トリプルアンジオキナーゼ阻害薬のニンテダニブは、化学療法による一次治療後の進行肺腺がんに対するドセタキセルとの併用療法として、欧州連合(EU)をはじめとする国々で承認されている。 ニンテダニブは、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1~3、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体α/β、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体1~3、およびRET融合遺伝子を標的とすることによって作用する。
NSCLC患者の約30%には、診断時に切除可能な病変が認められる 。早期NSCLCの主な治療法は手術である。切除後、II期/IIIA期の肺がん患者および選定されたIB期の患者には、シスプラチンをベースとした補助化学療法が推奨される。 しかし、手術および補助化学療法後の再発・死亡率は依然として高く、IB期では45%、III期では76%となっている。ということは、臨床アウトカムを改善させるための新しい有効な治療薬に依然としてニーズがあることは明らかである。
少数転移がんとは、一般に転移病変が1~5個とされている。進行は原発部位で起こることが最も多いため、積極的な局所治療によってさらに転移するのを防ぐことができると推測される。 これを根拠に、中国で実施された第III相非盲検ランダム化比較試験のSINDAS試験では、少数転移があるEGFR 遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象に体幹部定位放射線治療(SBRT)とEGFR-TKI治療の同時併用を検討した。
第III相ランダム化比較試験のCheckMate227試験では、腫瘍のPD-L1発現の有無に関係なく進行NSCLC患者を対象に、一次治療としてニボルマブとイピリムマブの併用(NI)を化学療法と比較したところ、全生存期間(OS)が有意に延長することが示された[1]。ASCO年次総会では、 Ramalingamらが同試験のパート1から得られた有効性と安全性に関する3年間の最新結果を発表した。
肺がんのなかでも腺がんの3%~4%および扁平上皮がんの2%の患者には、間葉上皮転換(MET)遺伝子のエクソン14に発がん性の変異が発生する。 MET 遺伝子エクソン14 (METex14) 変異はMET 増幅と同時に存在することが多い。このような変異を有する肺がん患者の治療のために複数の薬剤が開発段階にある。選択性の高い経口METチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)のカプマチニブとテポチニブはすでに規制当局による承認済みである。
本年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行によって、この世界最大のがん学会への現地参加は阻まれたものの、それぞれの専門領域の進展に対する専門家の強い関心に変化はありません。 去る5月29日金曜日から5月31日日曜日まで3日間にわたってインターネット経由で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)バーチャル科学会議には、約4万人のがん治療の専門家が参加しました。