SCLCでの有望なアプローチとしての免疫刺激

傾向

9~11ヶ月のOS中央値の悪い転帰を示す進展型小細胞肺癌(SCLC)に関して満たされない高い医学的ニーズがある。第一選択化学療法では一般的に際立った奏効を示すが、奏効者は通常、限られた期間の疾患制御のみを経験する。
免疫系の活性化によってこれらの患者の疾患安定性を延長し、結果として最終的に生存期間に影響を及ぼすという仮定に基づいて、Thomas等はToll様受容体9(TLR9)作動薬Lefitolimodの活性を評価した[1]。Lefitolimodは、化学療法中の腫瘍負荷量削減および放出腫瘍抗原を上手く利用しながら、複数の経路を通じた自然および適応免疫系の広範な増強によって免疫学的監視を開始する[2–4]。
IMPULSE予備的、無作為化、比較フェーズII臨床試験はベルギー、オーストリア、ドイツ、およびスペインの41施設で行われた。4サイクルのプラチナベース導入化学療法後に既にPRまたはCRになった進展型SCLC患者が登録された。これらの患者をLifitolimodに加えて、プラチナベース化学療法(第5/第6サイクル)、続いてLefitolimodの継続による治療を受ける試験群(n = 61)、または対照群(n = 41)のいずれかに3:2の比率で無作為に割り付けた。ここで、患者は現地の慣行に従って第5/第6サイクルの化学療法、続いてその後の治療のみを受けた。Lefitolimodは週2回、60 mgの用量で皮下に投与された。治療意向(ITT)集団のOSが、IMPULSE試験の主要評価項目と定義された。

作用様式の確認

臨床試験の選択された副次的評価項目は、Lefitolimodの作用様式を確認するための薬力学的マーカーの標準化された検出(すなわち、単球の活性化とケモカインIP-10の分泌)から構成された。治療開始前とその後の少なくとも4週目に、比較法で単球とIP-10を評価した。実際、CD169-陽性単球数とIP-10濃度の有意な増加が予想通りに生じた。IMPULSEでは、化学療法との併用でLefitolimodの限定追加毒性を実証した。対照群と比較して試験治療群では咳と頭痛が優勢だった。グレード3のAEは希にしか起こらず、グレード4または5のAEは報告されなかった。
ITT集団のOS分析では生存期間に有意な差は見られなかったが(Lefitolimodベースの投薬計画と化学療法のみで、それぞれ、279.0日対272.0日; HR, 1.27; p = 0.53)、予め計画された分析によると特定のサブグループでLefitolimodの活性の兆候があった。慢性閉塞性肺疾患(COPD)が報告されている患者は、死亡リスクの46%削減を経験した(316.0日対246.0日; HR, 0.54)。

小数での活性化B細胞
存在下での活性

ベースライン時に活性化B細胞数が少ない集団に関して興味深い結果が得られた。このコホートは38人の患者から構成され、そのうちの23人はLefitolimod治療を受けた。OS中央値は、これらの患者にLefitolimodと化学療法のみの治療を行った場合に284.0日対231.5日であった(HR、0.59)。活性化B細胞は、CD19-陽性B細胞のうちのCD86-陽性比率と定義され、15.4 %でカットオフした。低活性化B細胞数の予測値はさまざまな分析にわたって持続した(すなわち、中央値、四分位値、五分位値、線引きカットオフ; )。
この現象は、活性化/制御性B細胞によるLefitolimod誘発性の抗腫瘍反応の抑制によるかもしれず、このことはこれらの細胞の数が少ないと、Lefitolimod治療の最大効果を容易にすることを暗示している。次の段階には、活性化B細胞の数が少ない患者集団でのLefitolimodの検証を含む。

図:さまざまな分析にわたる活性化B細胞の数が少ない患者の全生存期間

:さまざまな分析にわたる活性化B細胞の数が少ない患者の全生存期間

参考文献

  1. Thomas M et al., Top-line data from the randomized phase 2 IMPULSE study in small-cell lung cancer (SCLC): immunotherapeutic maintenance treatment with lefitolimod.ESMO 2017, abstract 1527O
  2. Kapp K et al., Genuine immunomodulation with dSLIM.Mol Ther Nucleic Acids 2014; 3: e710
  3. Schmidt M et al., Design and structural requirements of the potent and safe TLR-9 agonistic immunomodulator MGN1703.Nucleic Acid Ther 2015; 25(3): 130-134
  4. Wittig B et al., MGN1703, an immunomodulator and toll-like receptor 9 (TLR-9) agonist: from bench to bedside.Crit Rev Oncol Hematol 2015; 94(1): 31-44

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