形質転換に起因するSCLCの特性および転帰
GFR TKI療法に対する耐性の取得時にEGFR-変異腺癌の少ないが有意な割合がSCLCに形質転換する[1]。さらに、EGFR 変異を隠すデノボ SCLCの例が報告されている[2]。SCLC-形質転換EGFR-変異肺癌の臨床的特徴と臨床経過はほとんど不明であるため、Marcoux等は2006年~2017年に治療を受けたEGFR-変異SCLC患者16人の記録を遡及的に再検討した[3]。この分析によると、腫瘍はその創始者EGFR変異を維持し、T790M.とは相互排他的であった。このことは、以前にT790M陽性であった症例にも当てはまった。デノボSCLCと同様に、EGFR-変異SCLC-形質転換腫瘍はTP53、RB1およびPIK3CAの変異を高い頻度で隠した。
形質転換後の初回療法の全コホートのPFS中央値は3.3ヶ月であった。プラチナ-エトポシドがSCLS診断直後の最も一般的な治療法として使用された。プラチナベースの化学療法に対して奏効が高い頻度で見られたが、一過性であった。検討されたすべての形質転換後の治療のうち、プラチナベースの治療法の初回使用では72%の臨床奏効率と4.6ヶ月のPFS中央値を示した。免疫チェックポイント阻害剤治療を受けた5人の患者には奏効は見られなかった。
転移性肺癌の初期診断からのOS中央値は38ヶ月で、SCLS形質転換を経験していない患者での予想OSに類似している。SCLC形質転換以降、OS中央値は8.8ヶ月であって、デノボ SCLC患者で見られた値と類似している。この群の患者向けに最適な診断方法および治療方法を上手く解明するために、さらなる調査が求められている。
参考文献
- Sequist LV et al., Genotyping and histological evolution of lung cancers acquiring resistance to EGFR inhibitors.Sci Transl Med 2011; 3(75): 75ra26
- Okamoto I et al., EGFR mutation in gefitinib-responsive small-cell lung cancer.Ann Oncol 2006; 17(6): 1028-1029
- Marcoux N et al., Clinical outcomes for EGFR-mutant adenocarcinomas that transform to small cell lung cancer.ESMO 2017, abstract 1531PD
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SCLCでの有望なアプローチとしての免疫刺激
9~11ヶ月のOS中央値の悪い転帰を示す進展型小細胞肺癌(SCLC)に関して満たされない高い医学的ニーズがある。第一選択化学療法では一般的に際立った奏効を示すが、奏効者は通常、限られた期間の疾患制御のみを経験する。 免疫系の活性化によってこれらの患者の疾患安定性を延長し、結果として最終的に生存期間に影響を及ぼすという仮定に基づいて、Thomas等はToll様受容体9(TLR9)作動薬Lefitolimodの活性を評価した。
免疫療法: 進歩の最先端でもう一度
非小細胞肺癌(NSCLC)患者の約1/3がステージIIIの局所進行疾患を示している。良好な一般状態であって、切除不可能な腫瘍のあるそれらの患者の場合、標準治療はプラチナベース二剤化学療法と併用放射線療法である。数年間にわたってこの条件では大きな進展が生じなかったため、生存率を引き上げる新規治療方法に対する顕著なニーズが満たされていない。転移性疾患でのチェックポイント阻害剤の有効性に関して、ステージIIIの局所進行、切除不可能NSCLC患者の免疫チェックポイント阻害を評価するため、最初の無作為化フェーズIII試験として国際二重盲検PACIFIC試験が開始された。
序文
2017年9月8日~12日にスペイン・マドリードで開催された今年のESMO学会で、治療法を変える可能性のある肺癌分野での注目に値するデータが発表された。臨床研究者は免疫治療薬の最適使用量を決定する多数の条件と制限を休むことなく調査しているため、免疫治療薬アプローチが再び大きな話題となった。 本号のメモ イン・オンコロジーでは、PD-L1の発現に関わらずPD-L1阻害薬アテゾリズマブの活性を確認し、患者の血液中の腫瘍変異負荷量の評価が実現可能で、治療の利点と相関することを示したOAKとPOPLARの臨床試験の分析を詳しく説明する。