悪性中皮腫:ニンテダニブとチェックポイント阻害薬に関する最新データ

悪性胸膜中皮腫(MPM)は、未治療のままだと生存期間中央値が7~9ヵ月となる浸潤性腫瘍である[1]。切除不能MPM患者の最先端の標準治療はシスプラチンとペメトレキセドのる組み合わせ併用療法で構成され、OS中央値が約1年となる。

LUME-Meso臨床試験のバイオマーカー分析

アンジオキナーゼ阻害剤ニンテダニブは、無作為化二重盲検プラセボ対照第II/III相LUME-Meso臨床試験においてMPM患者良好な成績を示した。。試験の第II相部分では、化学療法を受けていない切除不能類上皮または二相性MPM患者87例がニンテダニブとペメトレキセド/シスプラチンの併用またはプラセボと化学療法の併用による治療を受けた。ここで、化学療法にニンテダニブを加えることによってPFSが臨床的に意義がある改善を示し(9.4ヶ月対5.7ヶ月;HR、0.54;p=0.010)、OSについ ては改善の傾向が見られた(18.3ヶ月対14.2ヶ月;HR、0.77;p=0.319) [2]。治療の有効性は、類上皮組織構造のある患者において最も顕著であった。
Nowakらは、類上皮集団を対象として、58の血管新生因子の血漿中濃度、メソテリン、VEGFR1およびVEGFR3遺伝子のSNP、微小血管密度などについて予備バイオマーカー分析を行った[3]。OSとPFSに関して、予測因子解析と予後因子解析が行われた。しかし、これらのバイオマーカーのいずも誤発見率調整後に治療上の有益性との明確な関連性を示さなかったが、被験者数が少ないため解析の解釈には限界があった。OSとPFSの両方に関して予測可能な唯一のマーカーは血漿エンドグリンであった。この濃度が高いとニンテダニブの追加による有益性が低いことが示唆された。VEGF-DはOSに関して一定の予測値を示すと見られたが、PFSには当てはまらなかった。SNPについては、2種類のVEGFR3多型性がニンテダニブの有益性の低さを予測するかもしれないという兆候が見られた。試験の第III相部分でこれらの所見がさらに評価される。
確認を目的としたLUME-Meso臨床試験の第III相部分では、世界の約140施設で切除不能類上皮MPM患者を登録中である[4]。ニンテダニブとペメトレキセド/シスプラチンの併用に続いてニンテダニブ維持療法を行う方法と、プラセボと化学療法の併用に続いてプラセボ維持療法を行う方法との比較が行われているPFSが主要評価項目となる。

表悪性中皮腫(ITT)でのトレメリムマブとデュルバルマブの併用の抗腫瘍活性

免疫療法アプローチ

Gotoらは、2次治療または3次治療条件でのチェックポイント阻害剤ニボルマブの使用を評価した[5]。ペメトレキセドとのプラチナベースの併用療法に抵抗性または不耐性を示す進行または転移MPM患者34例がMERIT臨床試験に参加した。全集団でORRが29.4%であった。すべての組織構造の患者が次のように治療に対して反応を示した: 類上皮、肉腫様、および二相性組織構造のORRはそれぞれ、25.9%、66.7%、
25.0%であった。DCRは67.6%であった。PFS中央値は6.1ヶ月であった。6ヶ月時に患者の半分は無増悪状態であった。分析時にOS中央値に到達していなかった。6ヶ月時には85.3%のOS率であった。毒性プロファイルは管理可能であることが証明された。グレード3/4のAEが患者の11.8%で発生し、5.9%でAEによって治療中止が必要となった。
NIBIT-MESO-1臨床試験では、一次治療の化学療法に対して抵抗性である、あるいは治療後に再発した、またはその治療を拒否した中皮腫患者40例を対象として、抗CTLA-4抗体トレメリムマブと抗PD-L1抗体デュルバルマブの組み合わせを調査した[6]。試験はその主目的、すなわち免疫関連(ir)ORRを達成した。ITT集団では、ir-ORRは27.5%であり、さらに患者の37.5 %がir-SDを達成した(表)。これは65.0%のDCRに換算された。分析時にir-OR期間は中央値に到達せず、疾病制御期間中央値は14.1ヶ月であった。
全グレードの免疫関連AEが患者の75%で生じ、グレード3/4のAEは17.5%で観察された。治療関連AEは一般的に管理可能で、可逆性であった。トレメリムマブとデュルバルマブの組み合わせが有効であり、悪性中皮腫で優れた安全性プロファイルを示すと著者は結論付けた。さらなる調査が必要である。

参考文献

  1. Hiddinga BI et al., Mesothelioma treatment: Are we on target? A review.J Adv Res 2015; 6: 319-330
  2. Nowak AK et al., Mature overall survival (OS) results from the LUME-Meso study of nintedanib (N) + pemetrexed/cisplatin (PEM/CIS) vs placebo (P) + PEM/CIS in chemo-naïve patients (pts) with malignant pleural mesothelioma (MPM).J Clin Oncol 35, 2017 (suppl; abstr 8506)
  3. Nowak AK et al., Nintedanib + pemetrexed/cisplatin in malignant pleural mesothelioma: phase II biomarker data from the LUME-Meso study.WCLC 2017, MA 19.03
  4. Tsao AS et al., LUME-Meso phase II/III study: nintedanib + pemetrexed/cisplatin in chemotherapy-naïve patients with malignant pleural mesothelioma.WCLC 2017, P1.09-011
  5. Goto Y et al., A phase II study of nivolumab: a multicenter, open-label, single arm study in malignant pleural mesothelioma (MPM); MERIT.WCLC 2017, MA 19.01
  6. Calabrò L et al., Tremelimumab plus durvalumab in first- or second-line mesothelioma patients: final analysis of the NIBIT-MESO-1 study.WCLC 2017, MA 19.02

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