DUBLIN-3試験:選択的免疫調節微小管結合薬であるプリナブリンの二次治療や三次治療での使用

二次治療や三次治療を受ける野生型EGFR進行NSCLC患者の多くは、治療法の選択肢が限られている。そのような中、選択的免疫調節微小管結合薬(SIMBA)のプリナブリンが画期的新薬として登場した。 プリナブリンは免疫系による防御に関わるタンパク質のGEF-H1の放出を誘導することで樹状細胞の成熟化を起こすが、しっかりとした抗がん作用を示すためにはこの過程が必須になる。

ATALANTE-1試験:がん免疫療法が不成功に終わった後の抗がんワクチン使用

OSE-2101は、HLA-A2+拘束性修飾ネオエピトープを利用した抗がんワクチンで、肺がんで発現率の高い腫瘍関連抗原のCEA、p53、HER2、MAGE-2、MAGE-3を標的にしている[1]。 HLA-A2は血清で測定するが、患者の半数ほどが陽性を示す。プラチナ製剤ベースの化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法もしくは逐次療法が失敗した、HLA-A2陽性の進行NSCLC患者と同じく転移性NSCLC患者を対象に、第Ⅲ相ランダム化比較ATALANTE-1試験でOSE-2101を評価した。

徐々に進展する中皮腫および胸腺腫の 治療管理法

切除できない悪性胸膜中皮腫への画期的な治療法の中では、どれが一番期待できるとお考えですか。  大変重要性の高い分野ですが、これまでに大きな進展は見られていません。そんな中、ランダム化比較試験のCheckMate-743試験でニボルマブとイピリムマブの併用療法を化学療法 と比較した最新成績を、Peters教授らがESMO 2021で発表しています。

悪性胸膜中皮腫:全治療ラインで行う免疫チェックポイント阻害薬をベースにした治療法

第Ⅲ相ランダム化比較CheckMate 743試験では、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者に対する一次治療として、ニボルマブ3 mg/kgの隔週投与+イピリムマブ1 mg/kgの6週間間隔投与を最長で2年間続ける療法を、シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセドの3週間間隔投与を6コース行う療法と比較して評価した。

小細胞肺がん:有効性と忍容性改善への道のり

プラチナ製剤ベースの化学療法の実施中やその後に病勢が進行した小細胞肺がん(SCLC)患者には、発がん性転写因子を選択的に阻害するルルビネクテジン3.2 mg/m2の3週間おきの投与が米国で承認を受けている。 そこで、化学療法を1ライン受けた後に再発したSCLC患者307人を対象に、ルルビネクテジン 2 mg/m2とドキソルビシン40 mg/m2を3週間間隔で最大10コース併用投与し、次いでルルビネクテジン3.2 mg/m2を3週間間隔で単独投与した場合の有効性と安全性を第Ⅲ相ランダム化比較ATLANTIS試験で調査した。

免疫チェックポイント阻害療法:効果の増大および耐性の克服

第Ⅲ相国際共同オープンラベルランダム化比較POSEIDON試験では転移性NSCLC患者を対象に、一次治療としての抗PD-1抗体薬のデュルバルマブと化学療法の併用療法と、同併用療法に抗CTLA-4抗体のトレメリムマブを追加する併用療法を比較評価している。 19か国の153施設で、IV期の扁平上皮NSCLC患者と非扁平上皮NSCLC患者の1,013人を3群にランダムに割り付けた。

多岐にわたる遺伝子変異をターゲットにする新規治療薬や既存の治療薬

HER2変異は非扁平上皮NSCLCに顕著なドライバー遺伝子変異のおよそ3%を占める。 NSCLCを適応症に承認を受けたHER2阻害薬はいまだ限ら れているものの、抗HER2抗体薬物複合体のトラスツズマブデルクステカン(T-DXd)が別のがん種のHER2遺伝子変異陽性例に適応する薬剤として、複数の国で承認されている。

I期からⅢ期の肺がんへの治療法と新たな知見の増加

ステージI期からⅢ期の非小細胞肺がん(NSCLC)は治癒を目指して治療しても60%近くの患者が再発するため、アンメットニーズの高さがいまだ特徴になっている。 IMpower010試験は、完全切除とプラチナ製剤ベースの化学療法の実施後に行った免疫アジュバント療法が、無病生存期間(DFS)に延長効果をもたらした初の第Ⅲ相試験である。

巻頭言

今年の9月8日から14日には世界肺癌学会が、同じく9月16日から21日にはESMO総会が開催の運びとなり、権威ある両会で、肺がん領域の前臨床試験および臨床試験で得た貴重な知見が新たにもたらされました。 ピボタル試験の最新成績そして新規治療法の優れた成績が大勢の参加者に向けて報告されたのですが、今回、ESMO総会だけでも143か国から22,700人以上の方が参加しています。

標的治療には抵抗が課題となる

RET阻害剤やMET阻害剤など、さまざまな化合物の中で最大の課題は耐性です。 当初はゲフィチニブとエルロチニブがありましたが、突然変異のデータが蓄積するまでは、実際にどのように作用するのかわからなかったので、EGFR活性化変異に対して考慮することは有効であると考えられます。その後、より強力な化合物が作られ、薬理化学的な改良と優れた標的結合により、患者がこれらの治療を受けている時間は継続的に延長しています。KRASG12C阻害剤などの新しい薬剤については、良好な結果が得られていますが、耐性はすでに出現しています。

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