J-AXEL試験:前治療歴のあるNSCLC患者にnab-パクリタキセルがドセタキセルに匹敵する効果を示す

界面活性剤やアルコールを含有しない、アルブミン結合型のパクリタキセルのナノ粒子製剤であるnab-パクリタキセルについては多岐にわたるメリットが報告されている[1~3]。 第Ⅱ相試験では、前治療歴のある進行NSCLC患者のORRが32%、PFSの中央値が5か月になるといった、良好な成績がみられている[4]。そこで、中村らが報告した第Ⅲ相試験では、細胞傷害性化学療法の治療歴があるNSCLCのⅢB期・Ⅳ期患者と再発患者を対象に、3週間おきに1日目、8日目、15日目にnab-パクリタキセル100 mg/m2を投与する群を、3週間おきに1日目にドセタキセル60 mg/m2を投与する群と比較した[5]。ドセタキセルに対するnab-パクリタキセルのOSの非劣性を証明することが、この試験の目的である。それぞれ約250人が各群に割り付けられた。

有意な延長効果をPFSおよびOSに認める

ITT解析対象集団でOSのハザード比の上限1.25を下回ったことから、nab-パクリタキセルの非劣性が証明された(HR:0.85、95.2% CI:0.68~1.070)。OSの中央値はnab-パクリタキセル群が16.2か月、ドセタキセル群が13.6か月となった。治験実施計画書に規定したとおり、OSの点でnab-パクリタキセルの非劣性が証明されれば、次はドセタキセルに対する優越性を検証することになっていたが、PFSとORRとはいえ生存関連の数値に統計学的有意な改善は見られなかった。PFSの中央値はnab-パクリタキセル群が4.2か月、ドセタキセル群が3.4か月となっている(HR:0.76、p=0.0042)。両群(n=459)で29.9%と15.4%の患者がそれぞれの治療に反応した(p=0.0002、)。扁平上皮NSCLC患者(n=94)の場合はそれぞれ30.4%と10.4%が反応し(p=0.0207)、非扁平上皮NSCLC患 者(n=365)の場合は29.7%と16.7%の患 者が反応した(p=0.0042)。年齢、性別、ECOGパフォーマンスステータス、組織型、喫煙 状態、病期、EGFR遺伝子変異、前治療歴 のいずれのサブグループでもnab-パクリ タキセルにPFS、OS双方の延長効果がみら れた。

Graph 1

図:ITT解析対象集団におけるnab-パクリタキセル群およびドセタキセル群の組織型別奏効率

ドセタキセル群には血液学的毒性が、nab-パクリタキセル群には神経学的毒性が発現

有害事象に関してはドセタキセル群で白血球減少症と好中球減少症の発現率がnab-パクリタキセル群よりも統計学的有意に高くなり(どちらもp<0.0001)、発熱性好中球減少症の発現率も同様に大幅に高くなっていた(前者は22.1%、後者は2.0%)。対して、末梢感覚神経障害はnab-パクリタキセル群での発現が多くなっている(nab-パクリタキセル群55.5%、ドセタキセル群20.1%、p<0.0001)。 nab-パクリタキセルを、前治療歴のある進行NSCLC患者への標準治療の選択肢にすることを一考していただきたい、と著者らが締めくくった。

参考文献:

  1. Desai N et al., Increased antitumor activity, intratumor paclitaxel concentrations, and endothelial cell transport of cremophor-free, albumin-bound paclitaxel, ABI-007, compared with cremophor-based paclitaxel. Clin Cancer Res 2006; 12(4): 1317-1324
  2. Sasaki Y et al., Phase II trial of nanoparticle albumin-bound paclitaxel as second-line chemotherapy for unresectable or recurrent gastric cancer. Cancer Sci 2014; 105(7): 812-817
  3. Gradishar WJ et al., Significantly longer progression-free survival with nab-paclitaxel compared with docetaxel as first-line therapy for metastatic breast cancer. J Clin Oncol 2009; 27(22): 3611-3619
  4. Sakata S et al., Phase II trial of weekly nab-paclitaxel for previously treated advanced non-small cell lung cancer: Kumamoto thoracic oncology study group (KTOSG) trial 1301. Lung Cancer 2016; 99: 41-45
  5. Nakamura A et al., Phase III study comparing nab-paclitaxel with docetaxel in patients with previously treated advanced non-small cell lung cancer_J-AXEL. WCLC 2020, OA03.05

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