DUBLIN-3試験:選択的免疫調節微小管結合薬であるプリナブリンの二次治療や三次治療での使用

二次治療や三次治療を受ける野生型EGFR進行NSCLC患者の多くは、治療法の選択肢が限られている。そのような中、選択的免疫調節微小管結合薬(SIMBA)のプリナブリンが画期的新薬として登場した。プリナブリンは免疫系による防御に関わるタンパク質のGEF-H1の放出を誘導することで樹状細胞の成熟化を起こすが、しっかりとした抗がん作用を示すためにはこの過程が必須になる[1、2]。第Ⅲ相国際共同ランダム化比較DUBLIN-3試験では、ⅢB期・Ⅳ期の非扁平上皮NSCLC患者と同扁平上皮NSCLC患者で、プラチナ製剤ベースの化学療法を1ラインまたは2ライン受けている最中に病勢が進行したもしくはその後に進行した患者を、プリナブリン30 mg/m2とドセタキセルの3週間間隔投与の被験群(n=278)とドセタキセルとプラセボの対照群(n=281)に割り付けて、比較検討した。主要評価項目は全生存期間・率とした。

FeinsteinらがESMO 2021で発表した成績によると、同試験は主要評価項目を満たす結果となった[3]。OSの中央値は被験群が10.5か月、対照群は9.4か月(HR:0.82、p=0.0399)となり、被験群では24か月後と36か月のOSが2倍になる延 長効果が示された()。主な副次評価項目でも目標に達した。PFSの中央値は前者が3.6か月、後者が3.0か月(HR:0.76、p=0.0082)になり、6か月後(30.3%と17.8%)と12か月後(17.1%と4.7%)のPFSに統計的有意な高さが認められ、ORRは被 験群で2倍になった(12.23%と6.76%、p=0.0275)。

表 プリナブリン+ドセタキセル療法およびプラセボ+ドセタキセル療法の全生存期間に行ったランドマーク解析

持続する高い効果とグレード4の好中球減少症の減少

探索的データ解析が示すように、8コース以上の治療を受けた群(28.2か月と19.3か月、HR:0.453、p=0.0121)のOSには4コース以上の治療を受けた群(18.3か月と13.5か月、HR:0.634、p=0.0022)を上回る延長効果がみられた。また、同試験への組み入れ前に抗PD-(L)1抗体薬の治療を受けた群(母集団の23%)で48か月後のOS率が12.5%になるという(対照群は0%)、被験治療がOSを長期間延長させる傾向のあったことが同解析から判明した。第IB相・第Ⅱ相の101試験や今回の試験のプールドデータからは、被験治療を受けた欧米人の患者に長期生存効果が現れることが示唆された。

人年法を用いてグレード3と4の有害事象の発現率をコース数で調整すると、被験群の方が対照群よりも低くなり(発現率の予測値は前者が9.88、後者は11.04、p=0.0253)、各コースの8日目に発現したグレード4の好中球減少症の率も被験群で統計的有意に低くなった(5.13%、33.58%、p<0.0001)。血液毒性ではないグレード3、4のAEの場合、下痢が被験群で多く生じており(8.4%、0.7%)、高血圧も同様で(17.2%、1.1%)、点滴後に一過性の上昇がみられた。有効性・安全性・生活の質を一つの指標に組み入れた解析法のQ-TWiSTによると被験群で18%以上改善し、臨床的意義が認められた。プリナブリン+ドセタキセル併用療法のリスク・ベネフィット比は良好で、野生型EGFR NSCLC患者の二次治療・三次治療の選択肢になるだろうと著者らは締めくくった。

参考文献:

  1. Kashyap AS et al., GEF-H1 signaling upon microtubule destabilization is required for dendritic cell activation and specific anti-tumor responses. Cell Rep 2019; 28(13): 3367-3380
  2. Singh AV et al., A novel vascular disrupting agent plinabulin triggers JNK-mediated apoptosis and inhibits angiogenesis in multiple myeloma cells. Blood 2011; 117(21): 5692-700
  3. Feinstein T et al., DUBLIN-3 (BPI-2358-103): a global phase 3 trial with the plinabulin/docetaxel combination vs. doc in 2nd/3rd line NSCLC patients with EGFR-wild type progressing on a prior platinum-based regimen. ESMO 2021, LBA48

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